漢方薬が症状を抑える

鬱

専門医のいる医療機関へ

超高齢化社会になって増加傾向にある病気の一つに、認知症があります。脳の細胞が働けなくなった状態になることで不具合が起き、生活に支障を来たしているのが認知症ですが、原因ははっきりしておらず病気ではなく症候群に分類されています。症候群なので根治療法はできず、風邪や花粉症のように対症療法を行うしかありません。したがって、認知症における治療は日常生活動作を低下させないことが重視されます。認知症で問題となる代表的な症状、幻覚及び妄想、徘徊、攻撃行動などを抑えることが大切です。そこで注目された薬が、漢方薬の抑肝散です。配合されている生薬は、トウキやチョウトウコウ、センキュウなどです。トウキには血管拡張作用や鎮静作用などが、チョウトウコウには鎮静作用や血圧降下作用など、センキュウには駆?血作用や鎮静作用などがあります。イライラした気持ちを静めてくれる効果が期待できるため、抑肝散は元来子どもの夜泣きなどに用いられていました。認知症患者に使っても、興奮状態を抑えて問題行動も抑制できることがわかったのです。さらに動物実験では空間記憶障害が改善され、神経栄養因子様作用や神経栄養因子増加作用も認められました。認知症は精神に障害を来たす病気なので、精神科や神経内科で診てもらうのが一般的です。学会から認定された認知症専門医が、全国に800名以上いると言われます。医師はCTやMRIなど、脳の画像検査機器によって正確な診断を心がけています。しかし、クリニックではこうした機器を備えているところは多くありません。大学病院のように大きな病院となると紹介状が必要ですが、可能であれば老年科や認知症センター、物忘れ外来といった名称を標榜する医療機関を受診するといいでしょう。しかし、自ら認知症でないかと考えて医療機関に足を運ぶ人ばかりではありません。家族が先に気付き、受診を勧めるも、本人が認めたがらないということはよくあるパターンです。でも本人も何かおかしいことには気付いていて、漠然とした不安を感じていることが多いです。こういうときは、認知症は恐ろしい病気ではなく、根治はできなくても抑肝散の服用で症状を和らげることは可能だということを伝えるのもいいでしょう。薬を嫌う人であっても抑肝散のような漢方薬には抵抗のない人は少なくありません。